「す、すげぇ……。

これがオレの炎の力……」



桜介は自分の右手から放たれた炎の威力に驚き、薄暗い大地の中で燃え上がる炎を見ていた。



「もしかしてオレって、夢の世界で最強なんじゃ……」



桜介は自分の中にある絶大な力に気づき、小さな声でつぶやいていた。



ずっと誰かの脇役で生きてきたちっぽけな自分がキラキラと輝いて活躍できる場所。



もしかしたら、それが自分にとって夢の中の世界かもしれなかった。



この世界にいる自分は、誰にも負けない無双の力を持っている。



「桜介君、スゴいです！

カノンは驚きました！

桜介はめちゃ強いです！」



炎の技を使って敵を焼き払った桜介をカノンはキラキラした目で見つめて、弾むような声で褒めていた。



桜介はそんなわかいらしいカノンに目を向け、照れたように笑っていた。



「桜介、またデレデレしないでって言いたいとこだけどさ」



愛理はそう言って、上目使いで桜介を見ていた。



「今のはちょっとカッコ良かったよ。

まるで桜介じゃないみたいに」



桜介は二人のオカルト部員に褒められて、浮かれながらこう言った。



「だから言っただろ。

夢の世界ではこのオレが最強だって。

オレは誰にも負けねぇ。

絶対に」



「おい、春野。

ちょっと敵を倒したからっていい気になるな。

敵はまだたくさんいる。

次から次へと倒すんだ！」



桜介はそう言ってきた時宗に少しムッとしたが、また気を引き締めて敵を見つめた。



今の自分ならばコイツらを倒せる。



自分にそう言い聞かせて。