あやかしの集う夢の中で

「カノンも時宗君の話を信じます。

カノンも舞ちゃんを救いたいです!」



元々、人を疑うことを知らないカノンが桜介に続いてそう言った。



小柄なカノンが真剣な顔をしていると、何となくかわいらしく見える。



少し右側に分け目のあるふんわりとした長い髪も、中学三年生なのにもっと幼く見える童顔も、ルックスと反比例するかのようにやたらと大きな胸も、すべてがカノンが備えているの癒しのアイテムだ。



桜介はカノンを嫌いな男子にまだ会ったことがない。



カノンはそれくらい万人受けする癒し系の女の子だ。



桜介はそんなカノンの真剣な顔にデレッとしながら、カノンに話しかけていた。



「そうだよね、カノンちゃん。

カノンちゃんも舞ちゃんを助けたいよね」



「もちろんです!

カノンは舞ちゃんを助けたいです!」



「そうだよね、カノンちゃん」



桜介が少し甘い口調でカノンにそう言うと、知らぬ間に愛理の右手が桜介の頬っぺたに伸びてきた。



そして愛理が桜介の頬っぺたを強めにつねると、桜介は情けない声を出して、愛理を見ていた。



「イテテテッ。

止めろよ、愛理。

オレが何をしたって言うんだよ」



桜介がそう言うと、愛理が桜介の顔をのぞき込んだ。