「オレは江戸時代から続いている妖怪バスターの家系の末裔だ。

風間家の長い歴史は妖怪退治と共にあった。

妖怪退治こそが我が風間家の使命だ」



時宗が言い出した現実離れした話に桜介の理解がついていかず、桜介はきょとんとした顔で時宗を見ていた。



時宗が口にしたマンガの主人公みたいな設定が本当にあるはずがないと思いながら。



「時宗君って妖怪バスターの末裔なんですか？

すごいです！

カノンは時宗君の話をもっと聞きたいです！」



そう言ったカノンに桜介が目を向けると、カノンは目を輝かせて時宗を見ていた。



桜介はカノンが人を疑ったり、人の意見を否定したりするのを見たことがない。



そんな誰でもを肯定するカノンのスタイルがカノンの癒し系のキャラを形作っているのだろう。



でも、桜介は何でも信じやすいカノンをこのときばかりは心配していた。



カノンちゃん、今のままじゃ、いつかきっと悪い大人に騙されるよって。



そんな桜介の気持ちを代弁するように愛理が時宗にこう言った。



「ねぇ、時宗君。

私たちはオカルト部だから妖怪とか妖怪バスターとかそんな話は好きだけど、時宗君が妖怪バスターの末裔だって急に言われても信じられないよ。

時宗君は私たちに自分が妖怪バスターの末裔だって証明できる？

話はまずそこからよ」