「オレが話したいのは学校を休んでいる如月舞のことだ。

廊下を歩いていて、夢妖怪の話を聞いたからな。

もしさっきの話が本当ならば、如月舞は危険な状態にあるかもしれない」



時宗がクールにそう言ったすぐ後に、桜介が時宗の言葉を茶化すようにこう言った。



「盗み聞きしてたのかよ。

趣味わるー。

もしかしてイケメンでも友達少ないタイプだろ?」



桜介が悪口を発すると、愛理の右手が反射的に伸びてくる。



桜介はまた頬っぺたをつねられて、その痛さに顔を歪めていた。



「はい、桜介。

ごめんなさいは?」



「愛理しゃん、ごめんなしゃい……」



「素直でよろしい」



愛理の前で桜介はいたずらを叱られている子供みたいだ。



そんな二人の様子をカノンは優しそうな笑みを浮かべながら見ていた。



「なぜオレが夢妖怪の話に興味を持ったか、それを説明するには自己紹介をした方が早そうだ」



時宗がそう言うと、オカルト部のメンバーたちが時宗の次の言葉に身構えた。



自分達がまだ知らない風間時宗とは?



その興味をそそる話題がオカルト部を盛り上げていた。