「愛理ちゃんと桜介君はいつも仲がいいですね。

カノンは二人の仲がうらやましいです」



カノンが無邪気に笑いながらそう言うと、愛理はちょっと照れたように顔を赤くしてこう答えた。



「カノンちゃん、桜介とは仲がいいとか、そんなんじゃないから。

幼稚園の頃からの腐れ縁だよ。

どういうわけか、いつも私の近くに桜介がいただけだから」



愛理がそう言ったあと、部室内に少しの沈黙が流れ、愛理はその沈黙が気まずくて紅茶を口に運んでいた。



そして愛理は甘い紅茶を口にしながら、所属して三年目になるオカルト部のことを考えていた。



(オカルト部はお菓子と紅茶で始めようって言い出したのは桜介だ。

桜介はメンバーとの楽しい会話を誰よりも望んでいたから。

オカルト部は廃部になった園芸部の部室を使わせてもらっていて、先生たちからあまり歓迎はされてないけど、部活動は今日まで続いている。

桜介が誰にも迷惑はかけないからと先生を説得して、オカルト部を作ったんだよね。

私たちに楽しい待ち合わせ場所を作ってくれた桜介はすごいよ。

桜介、カノンちゃん、それに舞ちゃん。

私はみんなのことが大好きだから)



「愛理ちゃん、今日の紅茶もおいしいですね」



カノンが優しい声で微笑むと、ちょっとだけ気まずい沈黙が流れていた部室に、また癒しの風が流れ出した。



愛理はカノンに笑みを返し、「今日の紅茶もおいしいね」と優しい声でつぶやいていた。