放課後になるとオカルト部のメンバーたちは部室に集まり、いつものようにお菓子を食べながら紅茶を飲んでいた。



舞がいなくて、一人かけてしまったオカルト部はちょっとさみしいと桜介は感じていた。



そんな中でもオカルト部、癒し系担当のカノンがさみしさを吹き飛ばすような満面の笑みを浮かべてこう言った。



「このチョコレートすごくおいしいです!

さすがはお口の恋人、ロッチです!」



優しそうな顔にふんわりとした柔らかい声、小柄で童顔なのに、胸の大きさがやたらと目立つカノンに癒されなれない男子生徒がいるだろうか?



桜介がそんなことを思いながら、カノンの笑顔にデレッとすると、それを見た愛理がすかさず桜介の頬っぺたをつねってきた。



「イテテテッ。

止めろよ、愛理。

痛いだろ」



愛理は情けない声でそう言った桜介の顔を二重のパッチリとしたキレイな目でのぞき込んだ。



「桜介はカノンちゃんを見て、エッチなことを考えていたでしょ。

私にはわかるんだからね」



「どうしてそんなことがわかるんだよ?」



「桜介の顔を見ればすぐにわかるよ。

デレッとして、嫌らしい顔をしてるもん」



愛理はそう言うと、ようやく桜介の頬っぺたから手を離した。



愛理はショートカットで二重のキレイな目がチャームポイントの美少女だったが、桜介は幼い頃から愛理を見慣れているせいか、愛理を女の子として意識していなかった。



それはたぶん愛理も同じように思っているはずで、自分と愛理の関係は男女の仲を超えた友達だと桜介は思っていた。