「行こうぜ、愛理。

目的の場所まであと少しだ」



桜介が愛理の方を振り返ってそう言ったとき、愛理は小さくうなずき、桜介を見つめた。



もしかしたら夢の中の世界は人の願いを叶えてくれる場所かもしれない。



桜介はリアルな世界で特別な自分になりたいと願い続けて、今、この世界で本当に特別な自分になっている。



人が持っている強い思いが形になるとき、こんなにもスゴい現象が起きるのだと愛理は知った。



そして愛理は頼れる大切なパートナーに笑顔を見せてこう言った。



「こんなに頼れる桜介を初めて見たよ。

目的の場所まであと少しだね。

行こう、桜介。

舞ちゃんの夢を守るために」



桜介と愛理は火柱が立ち上る場所の脇をすり抜け、舞の大切な夢がある丘の頂上を目指してまた走り出した。



舞の大切な夢が光を失ってしまうまで、あとどれくらいの時間が残されているのかはわからない。



万が一、舞の大切な夢が光を失ったなら、オカルト部のメンバーは深い失望と共に舞の大切な夢を救えなかった後悔の念を残すだろう。



それだけは絶対に避けなくてはと、桜介は真剣に思っていた。



舞の大切な夢が消えてしまうことなんてあってはいけないことだから。