(あの頼りない桜介がこんなに真剣な顔で舞ちゃんの夢を守るって言いきるなんて……。

もしかして桜介はこの夢の中の世界で成長した?

私は今、桜介を見直しているよ。

桜介はこんなにも強いんだって)



幼い頃の桜介は今よりもずっと頼りなくて、自分が思っていることをハッキリと言えないでいた。



桜介が同じ年の子たちよりも体が小さかったこともあるけれど、桜介はケンカが弱かったし、人とは争わずに自己主張を抑えていた。



そんな桜介が固い決意を持って、自分だけの力を頼りに前に進もうとする日が来るなんて、愛理は想像もしていなかった。



人は時と共に成長し、そして変われる。



愛理は強くなった桜介を見ながら、そんなことを考えていた。



「行くぞ、愛理。

舞ちゃんがオレたちを待っている」



桜介が強い意思を込めて言ったその言葉に愛理は小さくうなずいていた。