館下先生は舌打ちをして大きく息を吐きだした。


「さっきの声って、赤ん坊の泣き声ですよね? この写真の子じゃないんですか?」


あたしは更に質問を続けた。


「そんなもの俺は知らない」


「じゃあ、そのネックレスについて詳しく教えてくださいよ」


そう言ったのは直弘だった。


「これは自宅にあったのを付けてみただけだ」


「自宅にあったものを付けただけで、取れなくなったんですか?」


直弘の質問に館下先生はまた舌打ちをして「あぁ、そうだよ!」と、怒鳴って来た。


本気で答える気はないみたいだ。


「そろそろ救急車で運ばれてもいいか? 俺は病院に行かなきゃいけないんだよ」


グラウンドに救急隊員を待たせていることは事実だった。


今頃、生徒たちも館下先生を探していることだろう。


「この写真のことだけ、教えてください」


あたしが言うと、突如館下先生が近くにあったボールを投げつけて来た。


「しつけーなお前! 知らねぇよそんな写真のことなんかよぉ!!」