振られたあたしを見下しているんだろうか?


腹が立ち、自然と歩調が速くなる。


「鈴が背中を押してくれたからだよ」


そう言われても、あたしは立ち止まらなかった。


あの時は屋上で告白することはできないと泣いていたくせに。


その理由だって、あたしは聞かされていないままだ。


「あのね鈴、あたし鈴には本当に感謝してるんだよ?」


そう言われてあたしはため息を吐き出した。


「ねぇ桜子。桜子はあたしの事をバカにしてるの?」


「そんな事ないよ。本当に、あたし駿に告白なんてできないってずっと思ってたんだから」


その言葉はきっと嘘じゃないだろう。


2人はずっと付き合っていなかったんだから。


「だけど、鈴のおかげで気持ちが変わったの。ダメだって知りながら告白する勇気はすごいなって思った」


それは聡樹があたしに告白をしてくれたからだ。


だからあたしも駿に告白できた。


「それにね、あたし――」


桜子がまだ何か話をしようとした時、あたしは走りだしていた。


もう何も聞きたくない。


2人が付き合い始めたのなら、あたしはあきらめがつくはずだ。


これ以上みじめな思いはしたくない!!


そう思い、桜子の声が聞えなくなるまで走ったのだった。