私は通学路途中にある公園の前の道路に車を止め、傘を片手に車から飛び出した。


百合子は間違いなくこの公園の中のどこかにいると、私は確信していた。


悪霊は、この公園のどこかで百合子に近づいたに違いない。


激しい雨は傘を差しても意味がないほどに強く、私の足はすぐにびしょ濡れになった。


雨でぬかるんだ土で足が滑り、私はバランスを崩して倒れかけた。


激しい雨が地面を叩きつけ、水溜まりに無数の波紋を作っている。


〈 百合子は今ごろ、どうなっているのだろう? 〉


不吉な予感が頭の中を駆け巡り、私は大声で百合子の名前を呼んだ。


何度も、何度も、声が枯れてしまうほどに。


でも、私が声が枯れてしまうほどに百合子の名前を呼んでみても、百合子からの返事はなかった。