私は左手で胸をかきむしり、やっとの思いで母に言った。


「お母さん、その人達三人は、間違いなくお母さんにそう名乗ったの?」


「ええ、間違いないわ。

私、名前を間違えると失礼だからって、その人達に直接、名前を書いてもらったもの」


「嘘よ!

そんなはずは、決してないわ」


「小夜ちゃん、どうしてそんなこと言うの?

みんな、とってもいい人だったのに」


「もし、その三人の名前に間違いがないなら、その三人は私の友達なんかじゃないわ!」


私はいつの間にか、ヒステリックに受話器に向かって叫んでいた。


私の頭の中から、消し去ろうとしても、決して消え去ることのない三人の名前。


そして母が、この三人の名前を知っているはずはなかった。


「お母さん、誰かに騙されたのよ。

その三人が、お母さんのお見舞いに行くことは絶対にないわ」


「小夜ちゃん、どうしたの?

そんな怖い声なんか出して……」


私は、乱れる呼吸を整えることもできないまま、母に言った。


「お母さん、誰かに騙されたのよ!

だってその三人。

三人とも、みんな死んでいるもの!」