もしかしたら、自分は不幸を招いてしまう人間なのかもしれないと、武士は真剣に思い悩んだ。


自分が愛する人で最初に不幸に見舞われたのは、中学生時代の桜井由美だった。


彼女は学校の階段から転落し、顔に大きな傷を負ってから、笑わない女の子になってしまった。


彼女の額、そして右のまぶたから頬にかけてできた醜い傷跡が、彼女の快活さを奪った。


思えばあれが、自分の愛する人に初めて起きた不幸だった。


そしてその後に続いたあの三件の殺人事件。


そして、今回の小夜子。


小夜子は、心の逃げ場所を求めて、お酒を飲むようになった。


小夜子はもう、以前の小夜子とは別人だった。