雷混じりで激しく降っていた雨は、いつの間にか止んでしまい、きれいな星が見える夜が訪れた。


絹子は病室の窓から空を見上げ、星を見た。


今日という日の夜が明け、日の光が差す朝が来れば、長かった入院生活も終わりだと、絹子は思った。


そうしたら、小夜子たちとの新しい生活が始まる。


絹子は、自分の頭の中に浮かんだ『新しい生活』という言葉の響きに胸が弾んだ。


〈 体が弱くて、もう働けない私だけれども、私のことを大切にしてくれる人たちが、私にはいるわ 〉


絹子の頭の中に、新しい生活をともにする家族の顔が浮かんだ。


〈 いつも苦労をかけて、つらい思いをさせてしまった小夜子。

どんなときも、小夜子を支えてくれる優しい武士さん。

とってもかわいらしい孫娘の百合子 〉


絹子は家族の顔を思い浮かべると、幸せな気持ちになれた。


〈 小夜子……、お母さん、また小夜子に世話になるね。

私には小夜子がいて、本当に良かった 〉