「それ、お弁当?」

千夏があたしの前にあったお弁当箱をサッと奪うと、断りもなく開けた。

「へぇ。おいしそうですねぇ」
美鈴がメガネを上げながら感想を述べた。

あたしはしゃべれない。

ただ、3人があたしのお弁当を見ているそばで座っているだけ。

「あたし、卵焼きね」
千夏が当然のように言うと、手で黄色い卵焼きをつかんで口にほおりこんだ。

「じゃあ、私はウインナー」
渚も同じようにそれにならう。

「私はおにぎりもらいますね」
当然のように美鈴も、右手を伸ばした。

口に入れるとすぐに目を丸くして、
「これ、味がないですね」
と、顔をしかめた。