___遠くに薄く丸い月が見えている。

図書室の窓からぼんやりそれを眺めていた。

さっきは、怒りに任せて飛び出してきちゃったけれど、これからどうしよう。


あたし___柴田千夏は窓枠に両肘をついてため息をついた。


「呪いか……」

誰よりも、呪いを信じているのはこのあたし。

純子が放送で言いだしたときから、本当はずっと心のどこかで信じていた。

だけどそれを認めると現実のことになりそうで、どうしてもできなかったんだ。

スマホで美鈴に電話をかける。

昨夜から何十回も繰り返している。

『お客様のおかけになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか電源が入って……』
画面を消すと、音も消えた。