「なに、これ……」
そうつぶやいたのは遙香だった。

あたしは驚きのあまり文字から目をそらせず言葉が出ない。

「ウチも朝来たら、書いてあったの」
瑠奈がそう言うと、あたしの後ろに隠れるように立った。

「ひどい。なによこれ」

遙香がカバンを自分の席に放り投げると、黒板の前まで行く。

そして、黒板消しを探そうとするが、
「ちょっと、黒板消しどこなの?」
と声を上げた。

誰も答えない。


みんながあたしを見ている。


「ちが……」

のどがカラカラ。

ようやくあたしはその時、前の方の席に座る千夏を見た。


千夏はニヤニヤと笑いながら、まっすぐにあたしを見返してくる。