「はい、そこまで」

先生の声が響いた。

兼子先生は、不機嫌そうに足を組んで教壇の椅子に座っている。

今日はいつもより、さらに眉間のシワが深い気がした。

テスト用紙が後ろから集められる。

バサバサ、という紙のこすれる音。

回ってきたテスト用紙を前の人に渡した瞬間、その音が鳴り響いた。


ピン ポン パン ポーン


みんなが黙ってお互いの顔を見合わせた。

まだ授業中なのに、校内放送?

瑠奈も不思議そうな表情で私を見ていた。

『みなさんにお伝えします』

その声に、あたしは黒板の上部にあるスピーカーを見た。

この声……。


まさか、純子……?