黒愛−kuroai−

 


両サイドの壁に、グレーの縦長ロッカーがズラリと並ぶ。


カゴに入った大量のテニスボールと、壊れたラケットの束。


換気用の窓が一つで、薄暗い。




ロッカーにはネームプレートが付いていた。

順番に見て行くと、真ん中辺りに名無しのロッカーを見つける。



そこを開けると中は空っぽ。

上下の網棚を外し、体を横にして入り込み、扉を閉めた。



身動き出来ないが、苦しくはない。

扉の上部に3本線の穴が開いているし、酸欠の心配もない。

数時間は我慢できそうだ。




立ち姿勢でウトウトしていると、ガラリとドアが開く音がした。


スマホを出し時間を確認すると、隠れてから2時間経過している。


練習を終えたテニス部員達で、ロッカー周囲は一気に賑やかになった。