黒愛−kuroai−

 


コートに入って行く柊也先輩。

外に残された私。

ジットリと見詰めながら立ち尽くしていると、ブタ子が笑顔で寄って来た。




「黒田さん、柊也先輩と喧嘩したの?破局?」



「ぶ…双山さん…

違うよ。今日は一緒に帰れないと言われただけ。
明日は一緒に帰る」



「ふーん… 明日も拒否られたりして。
なーんてね!アハハッ」




睨みつけると、

「キャー怖〜い」と言って、
ブタ子は笑いながら友達の元に掛けて行った。




なぜ彼女である私が、ブタ子ごときに笑われるのだ。



不快な気持ちで、テニスコートに背を向け歩き出す。



このまま帰るつもりはない。

柊也先輩の心が見たい。



私をどう思っているのか…

重要事項はすぐ確かめないと。




グラウンドの隅に建つ、プレハブ長屋に足を向けた。



野球部、陸上部、サッカー部…
外部活の生徒が、部室からぞろぞろと出て来る。



人通りが切れるのを隠れて待ち、周囲を警戒しながら、男子テニスの部室に侵入した。