黒愛−kuroai−

 


苦労して掴んだ彼女の座。
そこから転落する自分を、想像してしまった。



封筒の中身を知らない母親は、にこやかに私に問い掛ける。

一方柊也先輩は、眉間にシワを寄せ、疑心の目を向けていた。




ここは…
とぼけるしかない。


シラを切り通すと決め、
首を傾げ、怖ず怖ずと言った。




「あの…お話が分からないのですが…

そのファンレターを持って来た子、私じゃないです。

髪型が同じですか?

黒髪ロングは、アイドルの影響で、流行っているから…」



「あなたじゃないの?
あらら〜 おばさん余計な事ばらしちゃったね〜」




苦笑いする母親。

柊也先輩は、すぐに眉間の厳しさを解いた。

ホッとした顔の後には、元通りの優しい目で私を見ている。




安心する彼の顔を、真顔でジッと見詰めた。



「何?」


「先輩、家にファンレター持って来る子がいるんですね。

それって、もしかして、日常的なことですか?」