黒愛−kuroai−

 


白い箱の前で数秒考えた。

見たいけど、ガムテープを剥がせば跡が残る。
開けた事にすぐ気付かれてしまう。



机の上をチラリ見る。

ペン立てにカッターを見つけた。


カッターを手に取り、チキチキと刃を出し箱に近付く。




箱をゴロンと転がし、底を上に向けた。

白く滑らかな厚紙の上に、躊躇なくカッターの刃を突き立てた。



ブスッ…ズズズズ…



コの字に切り開き、カッターを置く。

底を開け、中身を引っ張り出すと…



服が数着、写真、アクセサリー、スポーツタオル、

清宮鈴奈とお揃いのパンダのマスコット……



予想通りだ。

この箱の中身は、元カノ思い出グッズ。



憎めるように仕組んだのに、何で取って置くのか…

その気持ちが分からず首を捻った。



嫌な気分で元カノグッズを箱に詰め直し、切り開いた部分を元に戻す。

近くにあったガムテープを用い、切った部分をくっつけた。




箱を裏返せば、誰かが中を見たと気付くだろう。


でも、大丈夫。
大抵の人間はそんな事をしない。


蓋が開けられた形跡がなければ、問題がある事に気付かない。


ひっくり返して確認する必要を感じない物だ。



柊也先輩が箱の異変に気付くのは、きっとかなり先の事。

犯人を特定できず、あやふやになってお仕舞いだろう。