朝。


鏡の前で、制服が着崩れていないか確かめる。


髪を整え、奈々ちゃんにもらったリップクリームを塗って、いざ出陣!


「基本の呼吸は腹でしろ。

吐き出すときに、自分の周りに卵の殻のような膜を作るように想像するんだ。

慣れてくれば、今までのような気の垂れ流しは防げる」


妖怪や霊を呼び寄せてしまう自分の気を、制御する。


その訓練をしながら、あたしは四郎くんやスサノオ兄弟と学校へ向かう。


うっかり通行人の守護霊が見えちゃったり、横断歩道でぼーっと突っ立ている落ち武者の霊と目が合ったりしそうだったけど、

四郎くんに教えてもらった通り、自分の気を卵の殻の中に閉じ込めるようなイメージをしていれば、それらが寄ってくることはなかった。


……でもそれは、あたしが上手にできているわけではなくて。


ほとんどの霊は、横にいる四郎くんを見てぎょっとした表情を見せ、逃げていった。


つまり、四郎くんの金ぴかオーラのおかげで、あたしは守られているみたい。