テスト前で部活がないことが功を奏して四階には私ひとり。 テスト勉強で残っていた人も次々と帰っていく。 外は傘を差すか差さないか微妙、といった具合。 今のうちに帰ろうと思う人が大半なのか、誰もこちらを見上げる様子はない。 「あ……」 桜色の傘の中に一組の男女。 私はその片割れ──男の方をよく知っている。 俗に言う『元カレ』というヤツ。