「『うるさいほど、聞かせろ』っつっただろ」


そう言われて私は聖二を見た。


その言葉は、あの日、聖二が私に突き付けた言葉。

私の独り言を―――心の声を。
ありのままに聞かせて欲しいと、唯一聖二が私に望んだこと。


気持ちが通じたあの瞬間のことを思い出して、胸がキュウッと締め付けられる。


…やっぱり、聖二がどうであろうと、私は聖二が好きだ。


「…聖二って本当に私のこと―――」


そこまでは言えるけど、なかなか『好き?』までは口に出来ない。
だけど、聖二はわかってくれたようで。


「はぁ?」


それでもそんな呆れたような、ちょっと苛ついたような返しに私の勇気はまた縮こまる。


だけど、ここで引いたらだめだ。
せっかく繋いだ手を自ら離すことはしたくない。


「だって…!『なんとも思わない』とか言うから!」


やっぱり、私と聖二の気持ちに温度差があるって感じちゃうじゃない!


思い切って吐きだしたあと、ちらりと横目で聖二を見てみる。
すると、真顔の聖二が私をずっと捕えていて、そこから視線を外せなくなってしまった。


ああ…!もっと可愛く訴えられる性格なら良かったよ!


私が心の中で落胆していると、聖二の手がぬっと伸びてきた。