「はぁー。もう、三那斗はこれだから…ガキ」
「てめっ!ガキのお前に言われたかないんだよ!」
「精神年齢が、僕よりガキ」
何もかもわかってるように孝四郎くんが三那斗にふっ掛ける。
未だに理解せずに立ち尽くす私を見て、孝四郎くんがにこっと笑った。
「ああ、ごめんね。美佳、置いてけぼりさせて」
「え?う、うん…」
隣でギャーギャー言う三那斗を無視して孝四郎くんは続けた。
「さっきのこと」
「『さっき』…?」
さっきってなんだろう?
聖二に水を注いであげたこと?
でもそのあと浩一さんにだって同じくしようとしたし、第一聖二が言ったとか言わないとか言ってたし…。
「聖二にぃが起きた時、美佳に『水』って言ったでしょ」
「―――え?!」
「そのあと、『何時』とか」
確かに言われたけど…それって普通のことじゃないの?
「…へぇ。それは珍しいかも」
会話に加わったのは浩一さん。
浩一さんも、孝四郎くんの言ってる意味がもうわかるんだ。
さすが兄弟。
なんて感心してる場合じゃなかった。
「それって…“珍しい”の?」
私は孝四郎くんに聞き返したつもりだったけど、その返事をしてくれたのは浩一さんで。
「―――美佳ちゃん。聖二はね、基本誰にも何も頼まないよ」
「へっ…?」
「自分でやった方が早いし確実だから、だって」
それって、なに?
じゃあ、さっき他愛ないことだと思ってたことって―――。
そこまで考えて聖二の後ろ姿を見る。



