キッチンから水を運んで聖二の目の前に差し出す。


「あ、あの…水…」


遠慮がちに声を掛けたら、ようやく聖二の体が動いて、差し出したグラスを受け取った。

私は手持無沙汰になりながらも、どうしていいかわからずに聖二の横に立ったまま。


ごくっと顔を上向きにして、喉を動かす目の前の男に釘づけになる。


―――ああ!もう!
かっこいい男は何しても絵になるな!

寝起きでもかっこいいってどういうことよ!

私なんて、絶対寝起きなんて見せられない顔してるよ!


ドキドキと胸を鳴らしながら、そんなことを思っていたら、グラスを返される。


「―――何時?」
「え…?あ、と―――」

「お昼の1時過ぎだよっ」


聖二の質問にすぐ答えられなかった私に変わって、テーブルから孝四郎くんが答えてくれる。


「通りで暑くて喉が渇く訳だ」


目を閉じてぼそっとそういうと、今度はソファの背もたれに体を預けて上を見ていた。

そのまま聖二の顔を見ていたけど、また動かなくなってしまった。


―――寝てるのかな…。

相変わらず綺麗な顔だなぁ。
いい形の眉に唇……この唇からあのドキドキ低音ボイスが出るのか。

出てくる内容はムカツクことばっかだけど。


「みーかー。僕たちもいるんだけど?」


孝四郎くんの呼びかけにハッとして振り向く。
そこには三那斗の視線もあって、私は慌てて手を振った。


「ち、違う!別に私は何も―――!」


あわあわとしているところに、また玄関から音が聞こえてきた。