「ちょっと、ね。美佳?」


そこで私に振る?!!


「えっ!なに!美佳!コイツとどっか行ってたのか?!」


ほら!案の定三那斗が乗せられてるじゃない!

面倒だからやめてよね!こういうの!!


だけど、孝四郎くんはしらっとしたままもぐもぐと口を動かすだけで。


「ちょ、ちょっとだけ。午前中本屋に…」
「なに?二人で?なんで?いつからそんな話―――」


矢継ぎ早にされる三那斗の質問を中盤から聞き流していたら、横から低い声が聞こえてきた。


「……うるさい」


その声に三那斗は黙る。
そしてなぜか私が緊張して、その声の方を振り向き謝る。


「ご、ごめ……」


むくりと起きた聖二がしばらく頭を下げて動かずにいた。

私はその姿をずっと見ていたが、さすが兄弟の三那斗と孝四郎くんはいつものこと、とでもいうように、マイペースに食事を続けていた。


「―――水…」
「え?は、はい…!」


動かずにいる姿から、そう短く声だけ聞こえてきて、私は思わず姿勢よく椅子から立って返事を返した。