「うん。ミカ。お世話になりました」
「そ、そんな……こんな急に?」


変かもしれないけど、なんだかもうチハルは本当の家族のように思えてた。
家に居ても変に気を遣わないというか、自然体で居られる人。
本当にお兄ちゃんが出来た感覚でいたのかもしれない。

急展開のこの状況に、感情が溢れ出る。
つい泣きそうになるのをどうにか堪えると、チハルはダンボールに荷物を詰める作業を中断して立ち上がった。

そして、私に近づいて困ったように笑う。


「そんな顔しないでよ、ミカ」
「だ、だって……」
「すごく楽しかったヨ。ずっとココに居たかったくらい!」


肩に手を乗せられて、いつもの明るい声を聞くと余計に泣きそうになっちゃう。
両手で口と鼻を覆うように涙を堪えてると、チハルがサラッと頭を撫でる。


「ぼくのために泣いてるの?」
「……」
「ダイジョウブ。すぐ会えるよ」
「……うん」


たった数日間だったはずなのに、こんなに存在感が大きかったチハル。
その笑顔には癒やされて、元気づけられて。
出会えて本当によかったと思う。


「チハル……ありがとう」
「うん。ぼくも。ほら、学校チコクするよ?」


ニコリと笑顔を向けられて、私は後ろ髪引かれる思いで学校に行った。