「……ね。仕事……いいの?」


ようやく心がだいぶ落ち着いたときに、左隣に座るやつがぽつりと言った。

ナビの時計を見ると、時刻は午後4時前。
いつもなら、仕事真っ只中のはず。


「……もう今日はいい」


そんなの、会社出てきたときにもう今日は終わりって決めてた。
普段から貢献してるんだから、こんくらい許してもらわなきゃ割に合わない。


「ふーん」と、どこか心配そうに返事を返す美佳を横目に未だに車を走らせてる俺。

本当は最初、どこへ行くだなんて決めてたわけじゃない。
でも、ふとさっき突然思い立った場所があった。

しばらく行けてない場所。しかも、偶然にも進行方向は同じ。
こういう機会でもなきゃ、俺はなかなかいかないのかもしれないから。

そう勝手に思って決めたはいいが……。


「わー。なんかちょっと自然が多くなってきたんじゃない?」


……コイツはいきなりこんなとこに連れてこられてどう思うだろう。


若干の不安を抱えつつ、その目的地までもう少し。
丘を昇って行く車窓から、夕陽が綺麗に望める。

それからまもなくしてその場所に辿り着くと、隣の彼女はきょとんとした顔をしていた。


「……聖二。ここって」


ああ。やっぱり怒るかな。
いまさらそんなふうに思ったって遅いけど……。