……え?
い、今……なんて……?


バッと右に顔を向け、横顔のまんまの聖二を凝視する。
明らかに気付くであろう私の視線を無視し続ける聖二が、とうとう我慢できずに口を開いた。


「……なんだよ」
「なに……って。それ、こっちのセリフ……」


私が普段と違う服着てるから?
だから、そんなに……照れたような顔してんの?


「ね、ねぇ。それって、褒めてんの?けなしてんの?」
「……」
「……なによ!二択で聞いてあげてるのに!」


聞いてるこっちだって、結構恥ずかしいんだから!
さっきチハルやアキラに対して話してたみたいに、さらっと答えればいいだけじゃない!


伝染するように二人して頬を薄らと染め、車内はなんだか微妙な空気。
それは決して重いものじゃないんだけど、どうにも息苦しい。
と、同時に、心臓がさっきからバクバク鳴りっぱなし。


「……それ、お前の母さんが選んだのか……?」


その空気の中、聖二がぼそりと聞いてきた。


「……そ、そうだけど?」


聖二の話の間って、すごく緊張する。
コイツ、まさか、わざとそういう話し方してるんじゃないよね?

そんな疑いの眼差しを送ってみるけど、聖二は私なんか見ないでずっと前をみたままだ。
ジッと見続けてたところで、もう聖二はこっちを見たりなんかしなさそうだ、と小さく息を吐いて、私も進行方向に向きなおしたときだった。


「さすがだな。……似合ってる」
「…………はい?」