「どうしたの?具合でも悪い?」
「……ヘーキよ」


そうしてぼくの手を掴んで立ちあがったところに、背後から複数の足音が聞こえてきた。
振り向くと、身長差のある二人が並んでこっちに向かってくる。

距離があってもすぐにその二人がミナトとチビコウだということがわかったぼくは、アキラがきちんと一人で立ったことを確認すると手を離した。


「あれっ。チハルとアキラ?」
「なにしてんだよ、こんなトコで」


チビコウとミナトが目を丸くしてぼくたち二人を見る。

なにしてんのって聞かれても、それは今ぼくがアキラに聞いたばかりのことで、その答えをまだ知らない。

だからその返答を答えあぐねていると、後ろのアキラが抑揚のない声で突然口を挟みだした。


「……みんな、なんであのコがいいのよ。どこにでもいるフツーの高校生じゃない」


振り向くと、俯き悔しそうに唇をかみしめるアキラがいて。
その姿に、ぼくだけじゃなく、全員が驚いて一瞬言葉に詰まる。


「ねぇ。あのコがわたしに勝ってるものってなに?若さ?歳なんてそんなに変わらないはずじゃない!」


まるで鬱憤を晴らすような、溜まっていたものを吐き出すように言ったアキラは、軽く息を荒げたまま一点を見つめていた。