「……大丈夫か」
「な、なんとか……」
「……十代のクセに、体力ねーな」
「うっ、うっさい!!」


状況は、ときめく場面のハズ。
でも、聖二が言うことはいつもと変わらないもので、ついこっちもいつもの通りに返しちゃう。


「はぁ」とようやく呼吸を整え終わろうとしたときに、聖二の視線が横を見ていたことに気付く。
気になる私が、聖二の視線の先を追うと……。


「……なんでここに」


聖二の声を聞きながら、視界には風に靡くブロンドの髪。
それを手で抑えるようにして、ゆっくりとこちらに歩み寄って来る。


「わたしがセイジに居場所(ココ)を教えたんだから、知ってて当然でしょ?」


アキラが、聖二にこの場所を……?
一体どういうこと?


すぐには理解できなくて、アキラから聖二へと視線を移す。
聖二はジッとアキラを見てたけど、表情は一切変えてなかった。


「セイジ。正気なの?確かにわたしはあなたと再会して間もないけれど、それでもその子といて笑ってるとこなんて見てないわよ?本当に楽しいの?」


お互いのことは、近すぎてわからないこともある。
だから、第三者(アキラ)に言われると、やっぱり重く突き刺さるものがあって。

だけど。
だけど、もしそれが事実だとしても、これをきっかけに変わればいいだけの話だ。


しばらく沈黙していたところに、いつ、どうやってこの気持ちをアキラに説明しようかと決めあぐねていたそのとき。