そんなことが思った以上にうれしくて。
いつもならなんてことなくさらりと愛の告白とかできるタイプのぼくが、思わず頬を染めてしまう姿を見られそうで、咄嗟にミカをまた引き寄せた。
……かわいい。かわいい。
ぼくのたった少しの言葉でこんなふうに変わるなんて。
ミカ。きみがぼくの傍にいてくれたら、今度はどんな顔をみせてくれるの?
「ウソ……じゃないよ?」
ぼくが話を続けると、ミカがまたぴくりと体を動かす。
そして、ぼくの胸の中で小さな声を落とす。
「……うそ。チハルは優しいから」
「一緒にイタリアに連れていきたい」
さすがにその言葉を聞いたミカはすごく驚いたようで、腕の中から顔を上げてぼくを見た。
「なっ……なに、言って!!」
「〝シンロ〟。決めてないんデショ?」
「!!」
ぼくの腕に閉じ込めたまま、首を傾げてミカの高さに合わせるように見つめて言う。
すると、ミカはまたびっくりした目を向けて、言葉に詰まってた。
ぱちぱちと、瞬きを何度か繰り返し、ようやくその可愛い口を動かす。
「そ、そーいうのは進路って言わないしっ」
明らかに戸惑ったミカに、ぼくは追い打ちをかける。
「ミカ次第だよ」
そう。
ぼくは本気。
きっと、前にセイジから電話を待ってる姿を見てたときから。
あんなふうに、ぼくを見てほしくなってたんだと思う。
職業柄、見られることに慣れてる自分。
でも、ミカはぼくじゃなくていつもセイジを見てたから。
「ぼくが日本にいる間じゅうに返事くれればいいから」
ちゅ、と前髪をそっと分けて見えたおでこにキスを落とす。
ますます身を強張らせるミカが、本当にかわいくて、〝それ以上〟を制御するのが大変だった。