浩一さんと半ば無理矢理別れさせられた私は、チハルと一緒にリビングにいた。
いつも通りの顔で、いつもと同じように振る舞うチハルだけど、絶対色々と気付いてるはず。


「……ねぇ。チハルはどうしてそんなに……」


私を助けてくれるの?

その質問が喉元まで来てたけど、なんだか自意識過剰な気もして口を噤んだ。
けど、それすらもチハルにはわかっちゃったみたいで……。


「ミカは笑ってた方が可愛いよ」
「かっ!!?」


可愛い?!なに?ウソ!ちょっと、そんな爽やかな笑顔で真っ直ぐに見つめて言うのやめて!バカみたいに意識しちゃうじゃん!

ボッと瞬間的に赤くなる顔に、自分でもわかってる。
あわあわとしていると、くすくすと楽しそうに目を細めて笑うチハルがなにかを思いついたような顔をした。


「そうだ。気分転換!」
「は……はっ?」
「ミカはいつも家にいること多いんじゃない?だから、遊びにおいでよ」
「あっ……遊びにおいでって……どこに」


まさかイタリアまで、とか言うんじゃないでしょうね?
そんなの無茶だし、不安すぎるっ。


窺うような瞳を向けると、チハルはにこっと笑って返す。
無垢に見えるその笑顔だけど、本当のチハルは何を考えてるの……?