「……だから。そういう顔、しないでよ。今すぐ攫いたくなる」


押し込めてた感情が溢れ出てしまった。

本当は、おれは長男だし、いい歳だし。
分別ある大人として、きちんと二人を祝福するつもりだったし、その過程だった。

だけど……キミが笑っていないのなら話は別だ。


「あ、の……」


後ろから手を回して抱きとめてる小さな体から、遠慮がちな声が聞こえる。

……困らせてるのもわかってる。
それでも、聖二が相変わらず煮え切らないから……気の長い方のおれだって、痺れを切らすってもんだ。

きゅ、とさらに力を込め、美佳ちゃんの感覚を体で確かめる。
ここからは、自分でもどうなるのか、わからない。

美佳ちゃんの言うこと。そして、それを聞いたおれ自身がどう考え、どう動くのか。


「浩一さ……」
「あれ? ドーシタの?二人して」


彼女が振り向こうとしておれの名を口にしたタイミングで、後ろからやけに明るい声が邪魔をした。


「――チハル」