「聖二となにか話した?」
「……いえ」
「……だから。そういう顔、しないでよ。今すぐ攫いたくなる」


……コウ。


人の話を盗み聞くなんて趣味が悪い。
そう思うはずなのに、とうとうそこまで聞いてしまったぼく。

コウの告白を受けて、なんともいえない感情が駆け巡る。


「チハル、意外に大変そうな相手ね?」


いつの間にか靴を脱ぎ、廊下にいたアキラに言われてハッとする。
アキラを見て勘付いた。

……そうか。ぼくやコウが話してる間に、アキラがなにかミカに吹き込んだのか。
じゃなきゃ、元々平気ではなかったとはいえ、こんなすぐ、突然に美佳が一人で飛び出すわけもない。

それに、コウの話からすると、きっとこの前と同じカオをしてるんだと思う……。
それを思い出すと……。


「……あんまり余計なコトすんな。アキラ」


どうしても、守りたくなる。


「なんで?だってチハルも思わなかった?セイジったら、昔と全然違うじゃない!きっとあの子が負担なのよ。まだコドモだし……」
「ミカはBambino(こども)じゃない。ちゃんとしてるよ」