昨日、途中で帰ってしまってから連絡出来なかった。
アキラが遅くまでいたっていうのもあるけど、電話をして、何からどう言えばいいのかさっぱりで。

大体、具体的になにについて話せば美佳の気が済むのかわかんないままだ。
アキラが関わってることはわかるけど、実際アキラとはなにもないし、弁解するようなこともない。

……でも、そんだけ信用ないってことか。


心の中で自嘲すると、騒がしいアキラがリビングへやってきた。


「セイジ!」
「……」
「なにー?反応悪いけど、寝起きかしら?」


ソファの後ろから覗きこむようにして、くすくすと笑いながら言われる。
返事するのもなんだか面倒でそのまま押し黙っていると、孝四郎が代わりに口を開く。


「そ。寝起き」
「やっぱり!あら?今日は来てないの?チハル。仕事かしら」
「さーね。とりあえず午前中は違うんじゃない?」


刺刺しい返事をする孝四郎に、不思議そうにアキラが返す。


「あら。コウシロウ。どーしてわかるの?」


その質問には孝四郎も突然黙り込む。
明らかに怒っているような目つきで俺に視線を注ぎ、再び口を開けたときには少し感情的な声色になっていた。


「……美佳と一緒だったからね!」


その言葉を聞かなくても、さっきからお前の視線でなんとなくわかってたよ。
それでそんなにイライラして、俺に〝なにしてんだ〟って目ェ向けてたんだろ。