孝四郎の視線を受けながら、気だるい気持ちで体を起こす。


「ああ!そうか。アキラちゃん、今日も休みって言ってたな」


アニキが孝四郎に納得の意を唱えて玄関へと向かう。


……あーほんとにきたのか、アイツ。
いや、ゼッタイくるとは思ってたけど……。

だったらどこか出掛けるとかすればよかったんだろうけど、それをしなかった。
心のどこかで、美佳がココに来るかもって思ってたからだ。


「Hi!コウちゃん!」
「いらっしゃい」
「セイジは?」
「ああ、いるよ」


美佳と比べたらちょっと低めの落ち着いた声のはずなのに、アキラのトーンはどうも耳に響く。
「はぁ」と小さく溜め息をついてうなだれる。

軽く手を組み、孝四郎の言葉を思い返す。

……チハル(あいつ)に数Ⅲを見てもらったってとこか。
意外に頭は悪くないんだな、チハル。

ぐっと手に力を込めて目を閉じる。

本当はそんなことどーでもいい。
実際の俺の頭ん中はそういうことじゃない。

――なに、他のヤツに教えてもらってんだよ。

そんな自分勝手な思いが湧きあがる。