「……!」
「~~!!」


……んあ。なんだろう。
普段は聞こえない隣からの賑やかさに目を覚ます。

そんなに壁が薄い作りとも思わない。現に丸聞こえというわけではないし。
だけど、なんだかキーの高いような声が耳に届いてる気がする……。

むくりと起きて時計を見ると時刻は朝の9時半。
土曜だから、遅刻の心配はしなくてよし!

焦ることなくベッドから足を出してリビングに向かう。
すると、ちょうど玄関からやってきたチハルと出くわした。


「あ、あれ? チハル、どっか行ってたの?」
「uh-昨日は夜仕事だったの。それで今まで帰してくれなくて。疲れたヨ」
「え?! そんなに長い時間するものなの?!」
「あ、チガウチガウ。仕事は数時間で、そのあとゴハンとかカラオケ?とかでみんなに連れ回されたの」


チハルは笑いながら、片手にミネラルウォーターのペットボトルを手にしてソファに座る。
朝陽を浴びながら、その水を勢いよく傾けて喉を鳴らしながら飲んだ。


うはぁ~。ほんとにモデルだなぁ。
どっかのCM見てるみたい。
あの、顎を上に向けたとこからの喉仏のラインとか、それが上下して動くとことかに男の人を感じる……。

こんなにジロジロみちゃダメだと思いつつ、目が離せない。


「ぷは」っと一呼吸置いたチハルが、私の視線に気づいて視線を上げた。
目が合うと、ニコッと笑われて余計に顔が赤くなりそう。


「ぼくは早くココに帰ってきたかったんだけどね」


目を細め、ちょっと首を傾げていうチハルにドキドキしちゃう。
いや!これは浮気心ではないし!

アイドルに対してのようなものだし!ていうか、事実チハルは世間でアイドルのようなもんだし!!