本当は、一秒でも早く会いたい。
でも、そういうのがバレると、ものすごく恥ずかしいから、顔とか動きとか声とか。全部に気をつけて、サンダルに足を突っ込んだ。

そーっと隣を覗いてみれば。


「……バレてるっつーの。アホ」
「!」


えー!絶対足音も、なんなら窓を開けるのも気をつけたのに!
なんなの、こいつっ。

凝視するように隣を見れば、柵に肘をつきながら夜空を見上げている聖二。

あれ? タバコ、もう終わったあとなのかな?

手になにも持たない聖二の横に並ぶように、仕切りを挟んで私も空を見上げた。


「……まさか、今日聖二が来るなんて思ってなかった」
「……そりゃ俺もだよ」
「聖二って、ああいうとき、ちゃんと話せるの?」
「あぁ?」


ひぃ! しまった! ちょっと言い方雑過ぎた!

睨みを聞かせて低い声を上げた聖二に、一気に体を硬直させた。
さりげなく目を逸らしていくと、ぽつりと聖二が言う。


「べつに、俺がなんか言わなくても、三那斗なりになんか考えてるみたいだし」
「あ、あー……」


そうなんだよね。三那斗がしっかりしてるから、べつに聖二が自ら口を開くようなこととないよね。

そこいくと、やっぱり私。