「ホメてるの!」
「あ?! ホメ…………そ、そうなのか?」
「そうそう、それ」


くすくすと笑うぼくを、「?」の顔で見てるミナト。
やっぱり、こういうタイプは面白いし、一緒に居て楽しい。そういえば、ミカもおんなじタイプかな。

でも、同級生でもあるこのミナトを、ミカは選ばなかった。
それだけ、セイジになにか惹かれるものがあるんだろうけど。


「って。ホメたって、ダメなもんはダメだかんな! さっさとアパートでもなんでも探せよなっ」
「んー、考えとく」
「テメ、それ、考える気ねぇだろーが」


「ち」っと軽く舌打ちして、ミナトはどこかへ行ってしまう。
後ろ姿を目で追うと、駐輪場に向かってるようだ。


「さすがに学校(ココ)で待ってたらミカにまた怒られるし。帰ってようかな」


ぼくは、目を細めて教室の窓を見上げると、顔が見られないようになるべく俯いて校門を出た。

ただでさえ、イタリア人の容姿で目立つから。道行く人は、何気なしにすれ違いざまにぼくを見ていくし。


「夏実サンに今日の衣装の帽子、貰えばよかったなぁ」


夕方なのに、まだ強い日差しを細目で見る。
イツキに借りてるスペアキーをチャリッと上に放ると、それをその手でキャッチして、俯きながらマンションへと帰った。