……考えすぎ、か。


「バカンスだかバカンツァだか知らねーけど、それならさっさと美佳んとこから出てけよ!」
「えー? あそこにいるから楽しいのにー」
「……はぁ」


思わず口から漏れた溜め息に、チハルが俺にくるっと顔を向けた。


「ミナトがどう言おうとさ! “カレシ”であるセイジがOKしたら、いーヨネ??」
「……べつに。俺の家じゃねーし。アイツんちに許可されればいーんじゃねぇの」


……なんだ? これ……。

口ではそういいながら、心がざわざわとしてる気がする。


「そー? じゃ、問題ナイねっ」
「ちょ、コラァ!」
「あはは! ミナト、残念でしたー」


“イヤな感じ”だ。この感覚。
なんか――――気持ち悪い。


ムカムカとする胸の感じを意識しないように、俺はそのまま振り返らずに学校をあとにした。