「ミカと一緒に住……」
「きゃーーーー!!!」
笑顔でさらりと危ういことを言ってくれる……!
慌ててチハルの口を手で覆うと、そのまま私が早口で女子に言った。
「あ!あの、親の仕事の関係で!お母さんの伝言頼まれたらしくて! あー! 私も“まさか”あのチハルが来るなんて! びっくりー!」
オーバーリアクションで言いながら、口を抑えられたままのチハルを引きずるようにしてその場から逃げる。
放課後とはいえ、女子生徒の視線が至るところから刺さってきてやりづらい。
私は階段を駆け下りて、玄関の隅に隠れるようにチハルを引き込んだ。
「……チハル!」
「え」
「自分の立場、わかってる⁈」
「ぼくの? えーと、居候?」
「ちっ……がーう‼」
私の全力のツッコミにも動じず、きょとん、とした目を向けてくる。
わかってないから、余計タチ悪いよ。
「チハルはちょっとした有名人でしょ⁈こんなとこ来たら騒がれるでしょ!」
「あー……そっか」
「せめて帽子被るとか、目立たないように静かにするとか」
「……ごめん」
まるで叱られた犬のようにしょんぼりとするから、なんか良心が痛む。
ちょっと、きつすぎたかな……。
「や……ごめん。こっちこそ……せっかく“おつかい”してくれたのに」
明らかに落ち込んでるチハルに、フォローするように優しく言う。
すると、ぽそっと俯いたまま、チハルが口を開く。
「……怒った?」
なんか、すごい罪悪感……。



