それって、つまり、都合よく三那斗を振り回すだけの想いなのかもしれない。


二人で寝ころび、太陽の光を浴びる。届くか届かないか――そんな隣の距離で寛ぐ三那斗を見てそう思った。


「雲ひとつねぇなぁ……」


空を仰いだまま、三那斗が言う。
私もその言葉を受けて、もう一度空を見る。


「……ほんと。遮るものもないって、まるで――」


三那斗みたい。

曇ることなんかなくて、ただひたすらに、輝きを放つような性格の。
力強くて、真っ直ぐで、心が綺麗で。

なによりわかりやすい三那斗は、一緒にいてすごくラク。

それでも、私は三那斗を選べなかった。

クセがあって、ときどき強引で、心が読めない。
ほとんど口数もなくって、影のある、月みたいな男。

なぜだか、はっきりとした理由は言えないけど。でも、やっぱり私はアイツのことが、好きだから……。


「『まるで』、なに」
「へっ」


気付けば、三那斗の顔は、空じゃなくて私に向けられていて。
びっくりした私は、思わず起き上がってしまう。


「べ、別に。なんでもっ」
「……お前、ほーんと、ウソ下手だよな」
「みっ三那斗に言われたくないよ!」
「オレはウソなんかつかねぇし」


三那斗の言葉と、その言葉通り、純真な瞳にドキッとする。