「結局、三那斗んとこは浩一さん?」


帰りのHRのチャイムが鳴り終わるのと同じに、私は思い出したように隣の三那斗に聞いた。


「っそ。美佳んちは母さんだっけ? 最後だったよなぁ、確か」
「そうそう。それまで残ってなきゃなんないのがねぇ……」
「じゃあ、オレといればいいじゃん」
「はっ?!」


カバンに教科書を入れながら会話していた私は、思わず教科書を手から滑らせ声を大きくした。

隣を見ると、別になんら変わらない、フツーの顔した三那斗が私を見てるだけ。


――み、三那斗って、本当に……。


「天然っていうか、なんていうか……」
「天然?」
「や、いい。だめだ。その話したら、こっちの方が墓穴掘りそう」
「なんだよ、それ」


床に落とした教科書を拾い上げると、三那斗は不思議そうに首を傾げてた。
ジッとカバンを閉めて、それを肩に掛けると、私は教室の後方出口に足を向ける。
その私の背中に、慌てたようにして三那斗が投げかけてくる。


「え! おい。どこ行くんだよ?」


三那斗の声に足を止めて、くるりと振り返って答えた。


「三那斗のばーか。教室、掃除終わったらすぐ退出してなきゃなんないでしょ」
「あ」
「天気いーし、屋上か中庭でも行く?」
「おっ、おう」


自分では大胆なことを、恥ずかしげもなく言ってくるくせに。
いざ、私が、いい返事をしたら、少し照れるような顔するところが憎めないんだよね。

本当は私も、三那斗の気持ち、知ってるんだから突き放せばいいのに……。

だけど、どうしても。

“お隣さん”って以上、普通のクラスメイトよりも特別に思うことは否めなくて。
それは、恋心には成り得ないものだけど、捨てきれない情として、確かに私の中にある。