星川さんが来てから、

あたしと雪都は一緒にいれなくなった。


“離れないでね”

って言ったのに。


雪都と一緒にいれなくなって1ヶ月。


あたしには限界が来てた―……。




「柚希…いいの?」

「いいの。」


彼女じゃないもん。

……雪都のバカ。



「あ、やべ!数学だ!教科書…」

「あ…」



“忘れたの?見せてあげようか?”

って言おうとしたのに。




「桜!教科書見せて!」

「もぉ、仕方ないなぁ」

「わりっ!」



……桜?

いつの間に下の名前で呼んでるの?

あれ…?

最近いつ雪都に“柚希”

って呼んでもらった?

思い出せないや……。

雪都は隣にいる星川さんの机に合わせて席をくっつけた。


「ゆ…」


あたしと雪都にはもうこんなに距離が出来てるんだ。
雪都がなにか言おうとしたけど、

あたしは窓を見た。


「…桜。ここどうやんの?」

「ここはこの公式!」

「あぁ…サンキュー」

「ううんっ…ねぇ雪お昼一緒に食べよ?海くんも一緒でいいから」



……雪。

あたしは呼べないのに簡単に星川さんは呼べるんだ。
お昼一緒に食べるの?

いつもはあたしたちと一緒だけど……


あたしたちと食べるよね……?



「一緒に…食おうか。」

「やった!」



…あぁもうだめっぽい。



「海、俺桜と食うけどお前は?」

「俺…は…」

「海、今日はそっちと食べて?そっちのバカップルと」

「わかった」


……優衣?

なに考えてるの?

彼氏と一緒に食べたいでしょ?

あ、みんなは知らないかな?

優衣は海と付き合ってるんだよ。

すっごいラブラブ!



「柚希?今日は一緒に2人で食べよ?」

「うん…?」

「海は気にしないで?海もわかってくれてるから」

「おう。……柚希笑えよな!」

「もう…海は」


優衣…海…。

あたし……結構限界っぽいよ……


―お昼

「柚希ー!」

「あ、待って!」


星川さんと雪都の前を通りすぎる。

……雪都なんか知らないんだから。



「柚希ー!今日は卵焼き交換っ」

「うん」


そう言って弁当の具をチェンジ!

ご飯を少し食べて屋上の涼しい風を浴びてたときだった。



「ねぇ柚希」

「ん?」


優衣があたしを抱き締めた。

優衣の髪が、風になびいてシャンプーの良い香りがする。


「ゆ…い?」

「もう我慢しなくていいんだよ?……泣いていいんだよ?」

「…っ!」



その瞬間涙があたしの頬を伝った―……。


「ふ…ぅっ…」

「我慢し過ぎるのは柚希の悪い癖だって言ってるのに」

「うわぁぁーん……」


優衣の腕の中がすごく暖かくて、

ボロボロだったあたしの心に染み込んだ。


「…泣きたいときはあたしに言って?いつでも抱き締めてあげるから」

「優衣っ……」


気持ちに限界が来ていたの。

もう雪都と星川さんの側にいるのが辛かった。

同じ空間にいるのも苦しかった―………。