俺のクラスに転校生が来た。
「ねぇ雪都!学校案内してよ!」
「はぁ?」
なにこいつ。
知り合ったばっかなのに何様なわけ?
……うざいんだけど。
「あ…学校案内ならあたしがやるょ?」
……優衣が?
いや、やめようか?
「優衣はすんな。」
「は!?なんでよ、海!!」
「だってお前柚希の自慢しかしねぇーじゃん。喧嘩売るようなもんだろ!」
「喧嘩売る気ないよ?相手がそう思うって事は、自分を“可愛い”って思ってるナルシなだけじゃん?」
……完璧星川は自分を、
“可愛い”
と思ってると思うけど?ww
てかナルシとかマジ無理。
「あ、もしかして星川さん柚希より上だと思っていらっしゃいます?」
「え!?いや…その」
「下ですよ?」
おーい!!
誰か優衣を止めてくれー!!
ぜってぇ優衣星川の事嫌いだろ。
「中の下ですかね?そう思うでしょ?」
俺らに振るなよ!
困んだろ!
なんて言えるわけもなく…
「「中の上じゃね?」」
一応ワンランク上げた。
だけどこの時……
俺らがちゃんと言ってれば、あんなことにはならなかったんだ。
「なによ、それ…」
「えっ…?」
ポロポロ泣き始める優衣。
「ゆ…優衣!ちげぇーよ!?」
「なにがよ!…海の…海の嘘つき!」
そう言って教室を飛び出した優衣。
「…くそっ…」
「海」
「柚希…」
「優衣なら任せて?海もダメだよ?彼女は泣かしたり不安にさせたら。」
なんだろう…。
そう言った柚希の言葉が、
俺に言っているようで…
変な感覚になった…。
まるで…
“雪のバカ”
そう言われているよう……。
「雪都?」
「まだいたの?」
「いちゃ悪い?」
当たり前だろ。
お前のせいでこうなったんだよ!
「雪都携帯持ってる?」
「あぁ」
「メアド教えて?」
「は…?」
なんで教えなくちゃいけないんだ?
まったく意味わかんねぇ。
まさか………
俺が好きとか?
……いやねぇな。
海狙いか?
まぁどっちにしろ……
「教えない」
…けど。
「え!?彼女とかいるから!?」
「彼女?いねぇよ。」
「じゃあどうして!?」
「めんどくせーもん」
「雪都…じゃ今度にしょっ!」
そう1人で納得して席に着いた。
優衣と柚希は2時間目はサボって3時間目は来た。
だけど、柚希は俺と目をあわせようとしなかった。
「柚希?」
「……なに?」
その間はなに?
「なんか元気ねぇじゃん」
「元気あるよ?雪都こそ元気ないよ?」
「えっ?」
「彼女に振られたの?」
「彼女…?」
「中の上の彼女さん」
「…っ!?」
はぁ!?
星川なんかに振られるわけねぇだろ!?
って違くて…
「はぁ?好きなやついるし」
「…っ!?」
なんだ?
好きなやついちゃ悪いのか?
てか柚希なんだけど?
「…柚希?」
「ねぇ雪。」
「ん?」
柚希がこうゆう状況で俺を
“雪”
と呼ぶときは、
悲しいときか不安なとき。
幼なじみ暦が長いとわかるようになるんだよな―…。
「雪…離れてかないでね」
「…?おう」
「絶対だよ?」
そう言って俺の目を見る柚希。
柚希は今にも泣きそうな顔をして瞳に涙を溜めていた―…。
離れるかよ。
お前が不安そうなのに離れるわけねぇだろ?
「柚希?」
「うん?」
「心配するな」
「うん。」
抱き締めたい。
…大丈夫だって言って。
だけど出来ねぇ。
俺は…彼氏じゃねぇんだ。