走っても走っても…

雪が見えない。


あたしは…やっぱり捕まえられないの?


そんなの嫌だよ…

もう失いたくないのに。


「ゆっ……き……」


涙が出ても走る。

涙を拭って走るんだ。
あたしは捕まえるの。


雪を……捕まえる。


少し走っていた時だった。走っている人がいた。


「…雪…?」


人目でわかっちゃう…。

あたし…

すごく好きなんだ―…。


雪も走ってくる―…。


「見つけた!」

「捕まえた!」


あたしは雪に抱きついた。

“見つけた”


…雪も覚えていたんだ―…。


あたしは昔の自分に言ってあげたいよ。



“諦めないで、追いかけて。そしたらきっと捕まえられるから…。離れないから”って。


「捕まえた……雪」


震える声を一生懸命隠してあたしは雪を離さない。


―離れてなんかあげない。