「はい、注目!」
「なんだよ、先生ー!」
「今日から新しく転校してくる生徒がなんと!我がクラスに決まりましたー!」
「……ガキじゃあるまいしそんなんで喜ぶなよ」
的確な海のツッコミにみんな大笑いした。
でもこの時の、
“幸せな時間”は、
無惨にも…儚く崩れてくのを、
私たちは誰1人気づかなかった……。
―ガラッ……
「おはよう!今日からこのクラスに入ることになった、『星川桜』です♪よろしくね☆」
……か、可愛い!!!
男子たちもう心の声駄々漏れなんですけどww
「これって、優衣と柚希には劣るけど超可愛くね?」
あたしと優衣?
優衣ならわかるけど…あたし!?
いやいやみんな目が可笑しくなったんだ!
「柚希。声に出てる」
「えっ!?嘘!!」
「嘘じゃねぇーよww」
「もう!柚希ってば可愛いんだから!」
「本当に…」
「あ゛?今なんて言った、海」
「いや別に?つかそんな怒るなよ!モロバレww」
…等の本人(柚希)は気づいてないけど。
みんなで笑いあってたときだった―……
「名前なんて言うの!?」
転校生の星川さんが、
雪都の机に手をついて前のめりで聞いてきたのは。
「え…?は?なに?」
「だぁかぁらぁ!名前!」
「高梨…雪都」
「雪都かぁ!」
えっ…?
さっそく呼び捨て?
胸がズキンと痛む。
「これからよろしくね♪」
そう言って先生に言われた席に行こうと離れたとき…
あたしは睨まれた。
「えっ…?」
「どうした?柚希」
「あ、いや…なんでもない!」
そんなあたしの様子を不思議そうに3人が見つめてた。
ねぇ雪…いや雪都。
あたし、
“柚”
って呼ばれたい。
“柚希”なんてやだ。
本当は“雪”って呼びたいんだよ?
だけど雪都が嫌そうだから呼ばない。
だって雪……
顔赤くするんだもん…。
赤くなるってことは…
それほど嫌で怒ってるって事だよね。
それからあたしと雪都の間には溝が出来はじめる……。
彼女の存在によって―……